離婚の際に、子どもの父親と母親のどちらが親権を持つのかについて裁判になるけースが多くあります。

一般的に父親が親権を取得できる可能性は低く、調停や審判による2万件以上の親権者の取り決めのうち、10%にも満たない割合となっています。

今でこそ「シンパパ」が増えてきましたが、父親が親権を取得するためには、ポイントを押さえて早くから行動する必要があります。

この記事では、離婚の際に父親が親権を取得しづらい理由と、親権を得るための重要なポイントを解説します。

親権取得を希望している父親のあなたは、ぜひ最後までご覧ください。

父親が親権を取りにくい3つの理由

現在の日本では、子どもの親権者を決める裁判では、約90%の割合で親権が母親に渡っています。

この理由は、どれだけ子育てに関わってきたかということが大前提ですが、そればかりではありません。

この現状は、日本のこれまでの「父親は働きに出るもの」「母親は家庭で子育てをするもの」という「あたりまえ」といわれてきた風習が大きく関わっています。

ここでは、父親が親権を取得しづらい原因について解説します。
父親であるあなたが親権取得を希望している場合には、以下を解決しておくことで親権を取得できる可能性が上がります。

子育てに関わってきた期間や時間が短い傾向があるため

日本では、父親がフルタイムで働き、子どもが小さいうちは母親が家事や子育てをしている家庭が多いのではないでしょうか。

そのため、父親は経済的な部分で子育てに関わっており、直接子どもと接する時間が取れないことも多いでしょう。

そのため、ある日突然父親と子どもだけの生活になれば、保育園や幼稚園、学校の準備や帰宅時間の問題など、日常生活に支障が出てくることが多く見受けられます。

このような背景から、親権を決める裁判で母親が有利になりやすいことがわかります。

反対に、子どもの身の回りのことを問題なく行えるのであれば、親権者になれる可能性が高くなりやすいでしょう。

子どもが母親を選ぶ傾向があるため

前項でもお伝えしましたが、母親に比べると、父親が子育てにかかわる時間が圧倒的に短いのではないでしょうか。

父母の離婚でどちらかを選べといわれた子どもは、小さなころから身の回りの世話をしてくれる、信頼できる母親と暮らしたいと感じてしまうのは仕方のないことかもしれませんね。

ポイント

小さなころから積極的に子どもと関わって、信頼関係を築いておくことが大切です。

父親が親権を取りやすいケースとは?

父親が親権を取得しづらい理由として、母親の方が多く子どもとの時間を共有しており、母親が親権者となった方が子どもへの精神的な負担が小さいと考えられるためです。

しかし、親権者の判断基準として土台にあるのが「子どもが幸せな環境」があげられます。

以下のような状況であれば、父親が親権者となる可能性が十分にあると考えて良いでしょう。

母親が虐待や育児放棄している

母親が子どもに虐待していることが認められる場合には、父親が親権者になる可能性が高くなります。

虐待の一例
  • 暴力などの肉体的な虐待
  • 暴言などの心理的な虐待
  • 食事を与えないなどの育児放棄

このような場合には、子の安全を確保するために、父親が親権者として認められるケースが多いと考えられます。

しかし、虐待していることを公的に証明することが困難なため、日ごろから継続的に記録しておくこことで、裁判で有利になる可能性が高くなります。

また、子どもの身の安全が確保できない場合には、一時的に避難するなどの対処が必要です。

母親が子どもと父親を残して家出した

母親だけが一人で家出したケースも、育児放棄とみなされて父親が親権を取得する可能性が高くなります。

母親が一時的に離れただけであっても、父親と子どもとの生活が安定している場合には、父親が有利になるケースが多いでしょう。

子どもが父親を選んだ

子どもが「父親と暮らしたい」と主張している場合には、その意思も重要視されます。特に10歳以上の年齢になってくると、有力な判断材料となります。

しかし、子どもが親に気を使っているケースもあり、子どもの気持ちが分からないことも多く見受けられます。そのため、子どもの意見には慎重な判断が必要です。

親権を取得したいからと、裁判や面談の調査で「パパと暮らしたいよね?」など、誘導するような発言は不利になることが多いため注意が必要です。

裁判で親権を判断する基準とは?

親権者を決める裁判では、以下の原則に基づいて慎重に判断されます。
そのため、以下の項目をクリアしていれば、父親でも親権を取得できることが期待できます。

母親優先の原則

親権者を決める判断基準として、「母親優先の原則」があります。

特に乳幼児(0~5歳)では、母親の監護養育が必要であり、事情がない限り母親が監護養育していくことが子の福祉につながるという考え方です。

ポイント

ここでは「監護者として育児に献身的か」という判断のため、実際に食事やトイレ、お風呂など身の回りの世話を父親が中心に行っていた場合には、父親が有利になります。

観護の継続性の原則

観護の継続性の原則では、子どもの現状を維持し、できるだけ環境を変化させないという考え方です。

そのため、すでに別居している場合、子と同居している親が親権を取得したほうが、子どもにとって環境の変化が少ないため有利になります。

父親が親権を取得したい場合には、子どもと別居することでさらに親権取得が難しくなってしまうため、妻との同居が辛くても一緒に生活しておくことが大切です。

子の意思の尊重

親権を判断する要素として、子の意思を尊重すべきであるという考え方です。

子どもに、どちらと一緒に暮らしたいのか選ばせてあげることは、子どもの意思を尊重しているかのように見えます。しかし、子どもの年齢や親の影響などで十分な判断ができないこともあるでしょう。

そのため、以下のように子どもの年齢で参考にすることが多いです。

子どもの意見を参考にする年齢の目安
  • 乳幼児~10歳前後
    乳幼児から10歳前後までは子どもの意思は参考程度とされ、その他の判断基準が重要視されます。
  • 10歳前後~14歳
    ある程度の判断能力があると考えられ、子どもの意思も考慮されます。
  • 15歳以上
    子が15歳以上の場合、子どもへの意見聴取が行われます。しかし、あくまで参考意見のため、子どもの意見だけが決めてになるものではありません。

兄弟姉妹不分離の原則

兄弟姉妹をできるだけ一緒に育てる方が良いという考え方です。

子どもにとっては父母の離婚は、それだけでも心理的な負担が大きいため、兄弟姉妹まで離ればなれになるのは避けるべきでしょう。

しかし、ある程度の年齢で、子どもたち本人の意思であれば、兄弟姉妹が離ればなれになることは十分に考えられます。

父親が親権をとるためのポイント

親権者を決める裁判で、最優先に考えられるのは「子が安定した生活を送れること」です。
子どもが父親と母親のどちらと暮らす方が安心なのかも考慮されます。

どうしても親権をとりたい場合には、以下のポイントを押さえたうえで、子どもとの信頼関係を築いておきましょう。

妻の不貞行為は親権とは別問題

妻の不貞行為が原因で離婚に至った場合でも、不貞行為が原因で親権を取得できるわけではありません。

不貞行為はあくまでも「夫婦間」の問題であって、妻が子育てに影響なく浮気をしていれば、妻に対する親権取得への影響は少ないといえるでしょう。

裁判で考慮されるポイント
  • 浮気相手との時間のために育児放棄している
  • 子どもより浮気相手を優先している

反対に、浮気相手との時間をつくるために育児放棄するなど、子どもよりも交際相手を優先している場合には、その現状も裁判で考慮される要因の一つになります。

要注意!

裁判など公に審議される場において、妻の不貞行為や育児放棄などを主張しすぎることで、裁判官に与える印象が悪くなってしまいます。たとえ事実であっても、感情ではなく事実だけを述べるようにしましょう。

妻の浮気で離婚と親権取得を考えている場合には、妻の浮気の証拠を準備しておくことが大切です
妻の浮気については、こちらの記事を参考にしてください。

子どもとの時間がとれる準備をしておく

日本の家庭の多くは、父親がフルタイムで働き、母親はパートや時短勤務で子育てをしているケースが一般的です。

そのため、裁判では子どもとの時間を多くつくれる方が、子にとって安心できる環境という理由で、母親に親権が渡るケースが多くなってしまいます。

子どもと別居しないこと

親権者を決めるためには、観護の継続性は極めて重要な判断材料となります。

そのため、親権を取得したいのであれば、どれだけ夫婦の関係が悪化していようとも、子どもと同居していることが重要なポイントです。

たとえ一時的に離れるだけであっても、その間に妻が単独で育児したという実績になり、親権の取得では妻が有利になってしまいます。

ポイント

妻が子どもを連れて出て行ってしまった場合でも、違法性が認められないケースがあります。
その場合には、妻に対して「子の監護者指定・子の引き渡しの審判」を申し立てることができます。

観護の実績をつくっておく

子どもの親権を取得するためには、子育てに積極的にかかわってきた実績が不可欠です。

経済面も重要ではありますが、ここでの監護の実績とは、どれだけ子どもと関わってきたかということがポイントになります。

食事を与えたり、保育園・学校の準備、休日は子どもと遊ぶなど、母親がいなくても困ることなく生活できる準備も忘れないようにしましょう。

ポイント

親権社を決める裁判で、どれだけ育児に関わってきたかを立証するのは困難です。
日常から子どもとの出来事の記録や、父子の写真を残しておきましょう。

離婚後も生活に大きな変化がないよう準備をしておく

前項でも触れましたが、母親がいなくても困ることなく生活できる準備が必要です。

子どもの送迎から食事の支度、入浴など、できるだけ離婚したときのことをイメージしながら、母親だけに頼ることなく身に着けておくことが大切です。

裁判では、以下のことも重要な判断基準になります。

離婚後の生活の
  • 離婚後の生活に大きな変化が少ないこと
  • 日常生活を不自由なく過ごせること
  • 子どもとの時間を取れること

特にフルタイムで働いている場合には、保育園の迎え時間に間に合わないことも十分に考えられます。そのため、時短勤務を検討しなければならないケースもあるでしょう。

親権を取得するためには、子ども優先で生活できる基盤を作っておくことが大切です。

面会交流に積極的になる

離婚後は、親権のない親と子どもの面会交流をさせたがらない親権者が多いのは否定できません。しかし、面会交流は親だけでなく子の権利でもあります。

感情に訴えて、裁判で元妻に会わせたくないという発言は、裁判で元妻を陥れようとしていると判断され、不利にはたらいてしまうこともあるでしょう。

しかし、親権を取得しなかった親が子に暴力をふるうなど安全に面会交流できない理由がある場合には、その限りではありません。

子育ての実績作りには、総合探偵社ZERCHにご相談ください。

一般的に父親が親権を取得することは困難なケースが多いです。

しかし、日ごろから母親がいなくても不自由なく安定した生活を送れる実績をつくっておくことで、親権を得られる可能性が高まります。

親権交渉には、長期にわたる子の監護実績が必要なため、少なくとも離婚の半年~1年以上前から準備を始めると良いでしょう。

総合探偵社ZERCHでは、浮気や離婚問題だけでなく、子どもの監護実績のお手伝いも実施しております。

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